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フランスの物価は日本より高い?旅費を抑える 5つのコツを解説

欧米を中心に物価高が深刻です。2022年11月のフランスの消費者物価指数(インフレ率)が過去最高を記録しました。原油・天然ガスの高騰や、物資の供給網がコロナ禍で乱れたためです。

価格変動の影響が大きいエネルギーや食品を除いたコア指数でもインフレ率は上昇しており、サービスの価格が上がっています。

コロナ禍が収束に向かっていることから、ヨーロッパ旅行を計画する人も多いでしょう。ヨーロッパの中でもフランスは旅行先として高い人気を誇っています。

しかし、フランスは物価高に見舞われている上、財政悪化を背景とした年金制度の改革に反対するデモが、2023年3月ごろから激しくなっています。渡航には注意が必要です。

この記事では、フランスの物価を日本と比較しながら解説します。

フランスの物価は日本より高い!物価を解説

フランスの物価が高騰している要因は大きく3つあります。

1つはウクライナ危機で天然ガスの供給が途絶えてエネルギー価格が上昇したこと。もう1つはコロナ禍から経済が立ち直ったことで、世界中の輸送網の需給バランスが崩れ、輸送費が吊り上がったこと。そして、日本が金融緩和を継続していることで、円安が進行していることです。

この3つは短期的に解決するとは考えづらく、中期的にフランスの物価が高い状態が継続する可能性があります。

フランスの物価は日本の1.5倍から2倍

フランスの物価は、日本と比較して1.5倍から2倍だと考えてください。ウクライナ危機や過度な円安が進行する前からフランスの物価は高いと言われており、1.5倍程度が普通でした。

平時でも物価が高い背景に20%という高い消費税の存在があります。都市部の物価は高い傾向がありますが、地方でも消費税はかかるので高めだと感じるでしょう。

フランスのレストランで、10ユーロ(1ユーロは145円)で食べられるお店はまずないと考えてください。パンのお店でサンドイッチだけを買ったとしても、9ユーロ(1,305円)はします。

旅費に余裕がないのであれば、行程や立ち寄るお店、宿泊するホテルなどを綿密に絞り込む必要があります。

フランスの通貨1ユーロは145円ほど

円安も物価高に拍車をかけています。対ユーロの円安は進行しており、2023年4月に入って5カ月ぶりとなる146円をつけました。

ECBの利上げ継続観測は続いており、ユーロは底堅く推移しています。ただし、2023年3月は138円台まで円高が進みました。様々な要因で変動する為替相場は予想がしづらいのが特徴です。

日本が金融緩和継続を示唆している以上、過度な円高に触れる可能性は低いと見られています。フランス旅行を計画する際は、現在の円安を加味するのが良いでしょう。

フランス国内のインフレが加速している

フランスの物価高はロシアのウクライナ侵攻が背景の一つにあります。ヨーロッパの主要国はエネルギーをロシアの化石燃料に頼っていました。侵攻が始まってすぐの2022年4月ごろのフランスは、急速な物価高で漁師が船を出せない事態にも追い込まれました。燃料が高すぎて利益が出ないためです。

経済活動が停滞したため、食料品を初めとした物価は高騰します。幸いにも2022年から2023年にかけてのヨーロッパは記録的な暖冬だったため、電気代や燃料代などの過度な価格高騰は抑えられました。

ロシアとウクライナが停戦合意に至ると、今の状況は改善する可能性はあります。しかし、プーチン大統領は停戦を頑なに拒否しており、その道は見えてきません。

フランスの物価高は中期的に続くと予想されています。

日本とフランスの物価を比較

次にフランスと日本の物価を大まかに比較します。1ユーロ145円で計算しています。

宿泊費用

ホテルは各国共通で、都市部や主要な観光地の宿泊料金が高く設定されています。料金の比較は主要都市のものです。

フランス日本
リーズナブルなホテル(日本のビジネスホテルクラス)20,000円~30,000円6,000円~10,000円
スタンダードなホテル(日本のシティホテルクラス30,000円~60,000円15,000円~20,000円
ラグジュアリーホテル100,000~60,000円~

パリは物価が高く、宿泊費も高額なホテルもありますが、宿泊施設そのものは他の都市と比べて多くあります。ゲストハウスも充実しているため、1万円以下でも泊まれる施設があります。

ただし、ゲストハウスは複数の人と寝食を共にするタイプがほとんど。事前に部屋の内容を確認してください。

交通費

パリの公共交通機関は1~6のゾーンに区分けされています。各ゾーンに料金が設定されています。ただし、地下鉄はゾーン1の範囲内でのみ移動します。従って、基本的に料金は一律です。

フランス日本
地下鉄276円180円※メトロ1区画
タクシー初乗り1,015円※最低支払運賃(初乗り料金は377円)410円

フランスのタクシーは、初乗りが377円、1kmごとに154円かかります。しかし、最低料金(1,015円)が設定されているため、それを下回っても最低運賃を支払います。どんなに近い距離でも、タクシーをつかまえると1,000円はかかることを覚悟しましょう。

食費

フランスでの外食は非常に高くつくと考えてください。フランスのビッグマックセットは1,022円です。日本はビッグマックのランチセットが650円で食べられます。

フランス日本
朝食1,500円~1,000円
昼食3,000円500円~1,200円
夕食5,000円~10,000円3,000円~8,000円

フランスのレストランではチップを渡すのが普通です。高級レストランやカフェなど、お店のグレードによって渡す金額は異なります。ただし、料金にサービス料(15%程度)が入っているため、チップが義務ではありません。

古くからの習慣になっているため、渡すのが一般的なのです。カフェであれば数ユーロ、ホテルで10ユーロ程度が一般的でしょう。支払いを済ませるタイミングで、サービスが良いと感じたらチップを渡すようにしてください。

ワインの費用

フランスのワインは、スーパーで購入した場合、5ユーロ(725円)から10ユーロ(1,450円)程度で手に入ります。

しかし、レストランで同じワインを注文すると、値段は3倍以上というのが普通です。レストランによって価格設定は異なります。

フランス日本
スーパー~1,500円~1,000円
レストラン4,000円~2,000円~

観光地の費用

次に主な観光地の入場料を比較します。

フランス日本
シンボルタワー3,118円※エッフェル塔2,700円※東京スカイツリーセット券
美術館2,465円※ルーヴル美術館500円※国立西洋美術館常設展

凱旋門が1,885円、オペラ座のガイドツアーが2,465円、ベルサイユ宮殿が3,118円です。観光地の入場料は2,000円から3,000円が一般的です。

お土産の費用

フランスのお土産は、チョコレート、チーズ、塩、ワイン、化粧品が人気です。金額は買う量にもよるため、一概には言えません。5,000円から30,000円が普通でしょう。

フランス行きの航空券はいくら?

フランスのハイシーズンは6月から8月にかけて。この期間は日照時間が長く、穏やかな気候が続いています。歴史的な街並みや緑豊かな公園に、太陽が降り注ぐ姿は正に映画やドラマで目にするフランスそのものです。

人々や街にも活気があり、旅行を楽しむことができるでしょう。ただし、航空券やホテルの宿泊料金は高額になり、人気観光地は待ち時間が出るなど混雑するでしょう。

年末を除く冬の時期(11月~3月)はオフシーズンで、費用を安く抑えて旅行をすることができます。フランスの冬の平均気温は5℃。日本では東北地方と同程度です。厳しい寒さの中での旅となることを覚悟してください。

ハイシーズン

ハイシーズンの航空券は往復で250,000円から300,000円程度です。経由する場所によって料金にバラつきが出ますが、日本からパリに到着するまでは半日かかります。経由地で長い待ち時間が発生すると、疲れてしまうケースがあります。

チケット代と旅の行程のバランスを見て決めてください。ハイシーズンの直行便は価格が高騰します。400,000万円台まで上がることも珍しくありません。

オフシーズン

オフシーズンであれば、往復数万円から20万円台で行くことができます。格安航空券のサイトで購入すれば、費用を抑えることができるでしょう。

旅費を抑えてフランスを旅したいのであれば、冬に訪れることをおすすめします。

1週間のフランス旅行でざっくり必要な費用はいくら?

ハイシーズンに1週間(4泊7日)のフランス旅行をした場合の費用は、どれくらいになるでしょうか?大まかな料金ですが、以下のようになるでしょう。

  • 航空券:300,000円
  • ホテル:30,000円×4泊=120,000円
  • 食費:10,000円×5日=50,000円
  • フランス国内の交通費:5,000円
  • 観光地:2,500円×8つの観光地=20,000円
  • お土産:15,000円
  • 合計:510,000円

気軽に訪問する金額としては、やや高いと感じるかもしれません。オフシーズンであれば、航空券にかかる金額を200,000円程度安くできる可能性があります。もし、それができれば、トータルの費用は310,000円です。

このくらいの金額であれば、イメージと合致するという人も多いのではないでしょうか?

フランス旅行の際に費用を抑えるコツ

大学生を中心にフランスの文化に触れたいという想いが強い人は多いはず。できるだけ料金を抑えてフランス旅行をするコツを紹介します。

オフシーズンに旅行を計画する

何と言ってもオフシーズンに旅行するのが一番の節約術です。

観光客が少なく、ルーヴル美術館やエッフェル塔などの有名施設をゆったりと巡ることができます。日は短いものの、夜景を長く楽しむこともできます。シャンゼリゼ通りはクリスマスシーズンにライトアップされ、美しく輝いています。

落ち葉が敷き詰められたコンコルド広場は、冬の風物詩とも言われ、映画のワンシーンのような光景を目の当たりにできます。

年明けのパリは例年セールが始まります。セール開始から2週間経過すると、半額程度まで下がることも。買い物を楽しむにもぴったりな季節です。

ただし、フランスの冬は気温が低いことに加え、冷たい雨が降る日が増えます。オシャレな靴を履くよりも、トレッキングシューズのような防寒、暴風対策に効果的なものを身に着けることをおすすめします。

服もゴアテックス生地のようなアウトドア系がベスト。バックパック旅行という感覚で足を運ぶと良いかもしれません。

スーパーマーケットで買い物をする

フランスで特に高いのがレストラン。スーパーで総菜や果物などを買えば、食費はかなり抑えられます。カルフール、ルクレール、カジノ、アンターマルシェなど、大都市圏には必ず有名なスーパーがあります。

名の通ったスーパーであればクレジットカードが使え、パン、冷凍食品、ワイン、菓子などを購入できます。

バゲットは1本2ユーロ(290円)、クロワッサンは2個で1.5ユーロ(218円)くらいで買えます。ただし、物価高の影響で価格は上がっている可能性はあります。それでもレストランで食べるよりも、安く済ませられます。地元の食材を楽しむというのも、フランス旅行の醍醐味だと言えるでしょう。

ツアーで予約する

観光地を巡りたいのであれば、パックツアーを活用するのもおすすめです。商品にもよりますが、大手旅行代理店で4泊7日のツアーを200,000円程度で販売しています。

主要な観光地を巡ることができ、食事や宿泊場所に苦労することがありません。手軽に訪問したい人にはツアーの利用をおすすめします。

宿のグレードを下げる

宿泊場所をとにかく安く抑えたいのであれば、ゲストハウスを利用する方法があります。女性専用のゲストハウスもあり、情報収集に努めれば安全かつ快適な場所を見つけられるでしょう。

ダブルベッドで複数人と泊まり、ダイニングやトイレも共有というゲストハウスがほとんどですが、別の旅行者との交流ができるというポジティブな側面もあります。

ゲストハウスは1万円以下で泊まれるケースがほとんどでしょう。パリなどの主要都市、観光地に多くあります。

フランス旅行の際に注意するべきポイント

フランス旅行では気を付けるべき点がいくつかあります。文化や習慣を理解して足を運ぶようにしましょう。

クレジットカード文化

フランスに限らず、欧米ではクレジットカード文化が進んでいます。フランスではコーヒー1杯の支払いもクレジットカードで行えます。美術館もクレジットカードで入れます。

レストラン、公共交通機関、レンタカー、ホテルなど、旅行中に支払いが必要な場面では基本的にクレジットカードが使えると考えてください。逆に多額の現金を持ち歩くと、スリや強盗の被害に遭遇しかねません。

支払いは積極的にクレジットカードを使いましょう。なお、PayPayなどのQRコード決済は普及しておらず、使えません。

フランスはチップ必要?

チップを支払う義務はありません。ただし、習慣でチップを渡す人がほとんどです。相手から求められることはまずありませんが、気持ち良いサービスを受けたと感じたら払うのがマナーでしょう。

フランスの治安は悪くないがスリや置き引きに注意

フランスの治安は悪くはありません。ただし、スリが多いことで有名です。特に有名な観光地では被害が多発しています。貧困層が集まるエリアもあり、事前に治安の悪い場所を確認してください。

黙って抜き取られるというよりも、突然話しかけられて知らないうちに盗られているケースが目立ちます。広場などで署名を求められ、サインをしている間に財布を抜き取られる手口が有名です。

グループで活動していることが多く、子供が土産物を持って声をかけてくることもあります。見知らぬ人に話しかけられても、黙って立ち去るか、「ノン」などときっぱり断ってください。

活発なストライキとデモを見落とさないで

フランスはストライキとデモが活発な国。現在、深刻なのが年金の支給年齢を62歳から64歳に引き上げる制度改革への反対運動です。

一部の左翼活動が過激化し、役所が銀行に放火。パリの中心部で機動隊と乱闘を繰り広げています。ゴミの回収を放棄して街が荒れた時期もありました。

ストライキやデモは交通の乱れを引き起こすことがあるだけでなく、身の危険が迫ることもあります。情報収集を怠らないでください。

フランスの物価は東京の1.5倍から2倍

現在の物価高と円安を考慮すると、フランスの物価は日本の2倍程度だと考えて間違いありません。しかも、その状態はしばらく長く続きます。費用が嵩むことを計画に盛り込んでください。

フランスは観光資源が豊富で、美味しい料理が食べられる国です。贅沢をするところと、費用を抑えるところのメリハリをつけるのが良いでしょう。


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