イギリス

ロンドンタクシーの乗り方を紹介!チップは必要?アプリで呼べる?

イギリス・ロンドン名物ともいえるレトロな黒塗りタクシー「ブラックキャブ」。ロンドンバスなどと並ぶイギリスのアイコンのひとつと言っても良いでしょう。

高い運転技術を持つドライバーやホスピタリティが行き届いていることから、ホテルや観光地・空港への移動に便利と観光客にも人気です。せっかくロンドン観光に行くなら一度はブラックキャブに乗ってみたいと思っている人も多いでしょう。

本記事では最も有名なブラックキャブ・ミニキャブに加えて、最近利用者を伸ばしている配車サービスUberやライドシェアBoltも紹介。

それぞれのサービスの特徴や料金・乗り方・注意点なども解説します。

ブラックキャブの利用を検討している人や観光地でのタクシー利用を考えている人はぜひ参考にしてみてください。

ロンドンタクシーの種類

ロンドンのタクシーには大きく分けて以下の3種類があります。

  • ブラックキャブ
  • ミニキャブ
  • その他(Uber・Boltなどの配車サービス)

ブラックキャブは言わずと知れたロンドンの名物で、世界一有名なタクシーサービスです。ミニキャブはブラックキャブよりもお手頃な価格で使いやすく、日本のタクシーに近い感覚で乗ることができます。ここではその他として、UberやBoltなどの格安配車サービスも取り上げています。

ブラックキャブ

ブラックキャブはロンドンの象徴として親しまれている黒塗りのタクシーです。その特徴や利用方法・料金などを紹介します。

特徴

イギリスで「タクシー」と聞くと、黒く塗装されたクラシックな外見のブラックキャブを思い浮かべる人は多いのではないでしょうか。

ブラックキャブは正式名称を「ロンドンタクシー」と言い、世界初のライセンス式認可タクシーです。ロンドン交通局より認可を受けた特別なドライバーと車両だけが「ブラックキャブ」と名乗ることを許されます。

かつて認可を受けたタクシーは黒く塗装されたものしかなかったため、ブラックキャブと呼ばれていましたが、今ではカラフルな塗装やラッピング広告を施したブラックキャブも存在します。

そのため、ブラックキャブと一口に言っても車種や車体の色・形はさまざまです。他のタクシーと違うのは、フロントガラスの真上に「TAXI」と書かれたランプがついている点です。

運転手はどんな人?

ブラックキャブの運転手は、世界一難しいと言われる難関試験「ナレッジ試験」をパスした人です。

ナレッジ試験ではある地点から別の地点までの最短ルートを地図なしで答える、中心地にある全ての道路とランドマークの名称を答えるといったようなテストがあります。

ブラックキャブの運転手は乗客を最適なルートで目的地まで送り届けるため、ロンドン中のあらゆる通りや交差点の名前・信号の場所や工事中の箇所、ランドマークまでのルートを頭に入れておく必要があります。

このナレッジ試験は難易度が高いことで有名で、試験途中での脱落率は70%、全ての試験に合格するためには平均3年の期間がかかると言われています。

受験者はナレッジ試験を通過するために学習ガイドに沿って学ぶほか、専門の予備校に通って勉強をする人もいます。

試験に合格したあとも、ブラックキャブを運転する資格を得るためには税金の滞納がないか、犯罪歴がないか、健康状態のチェックなど厳しい調査が行われます。

ブラックキャブの運転手はまさに選ばれしスペシャリストだけが就くことのできる仕事と言えるでしょう。

利用方法

ブラックキャブを利用する方法は以下に挙げる3つがあります。

  • 事前予約する
  • 道で流しの車を拾う
  • 駅などのタクシー乗り場から乗る

観光の日程が決まっているなら、事前に乗車予約をして乗るとスムーズでしょう。また、ブラックキャブはロンドン市内を運行していますので、「流し」のブラックキャブを捕まえて乗ってみるのもロンドン観光の醍醐味です。

料金

ブラックキャブの乗車料金は日本と同じメーター制となっています。以下は、ブラックキャブの乗車料金の例です。旅行の際の参考にしてみてください。

ブラックキャブの料金例(※2023年5月9日時点 レートは1£=170.09円で計算)

距離乗車時間の目安月~金05:00 – 20:00(Tariff 1)月~金20:00 – 22:00
土日05:00 – 22:00(Tariff 2)
毎日深夜22:00 – 05:00
祝日
1マイル(およそ1.6km)6~13分£7.00 – £10.80(約1,200~1,800円)£7.00 – £11.00(約1,200~1,900円)£8.40 – £12.00(約1,400~2,000円)
2マイル(およそ3.2km)10~20分£10.60 – £17.00(約1,800~2,900円)£11.20 – £17.20(約1,900~2,900円)£12.40 – £18.20(約2,100~3,100円)
4マイル(およそ6.4km)16~30分£18.00 – £27.00(約3,100~4,600円)£20.00 – £27.00(約3,400~4,600円)£21.00 – £31.00(約3,600~5,300円)
6マイル(およそ9.6km)28~40分£28.00 – £36.00(約4,800~6,100円)£35.00 – £39.00(約6,000~6,600円)£36.00 – £40.00(約6,100~6,800円)
ヒースロー空港からロンドンの中心地まで30~60分£56.00 – £105.00(約9,500~17,900円)

※初乗り料金:£3.80(約)

参考サイトURL:Taxi fares – Transport for London

乗り方

①止めるとき

街中を走っているブラックキャブを拾うときは、日本でタクシーを止めるときと同様に手を挙げて合図します。

車体上部についている「TAXI」のランプがついているブラックキャブは空車ですから、乗ることができます。

②乗るとき

ブラックキャブが止まったら、すぐに乗り込まず助手席の窓から運転手に行き先を告げます。このときに、料金がいくらかかるかも聞いておくと安心です。

運転手の了解を得られたら後部座席に乗りましょう。ドアは自動で開閉しませんので、乗るときは自分でドアを開けなくてはいけません。

乗車できるのは5人までで、車内は禁煙、匂いの強い食べ物の持ち込みは禁止です。ブラックキャブにはベビーカーやトランク・スーツケースといった大荷物でも乗せられます。

③降りるとき・支払い方法

目的地に着いたら自分でドアを開けて車を降ります。運転席と後部座席には仕切りがあるため、現金で支払う場合は一旦車を降りて、助手席の窓からドライバーにお金を渡します。

カードでの支払いに対応している場合は、車内にあるカード決済機を利用して支払います。

ミニキャブ

ロンドンにはブラックキャブのほか、ミニキャブと呼ばれるタクシーも走っています。ブラックキャブとミニキャブとの違いは何でしょうか?

ここでは、ミニキャブの利用方法や料金、乗るときの注意点も紹介します。

特徴

ミニキャブは完全予約制のタクシーです。車のメーターはなく、予約の際に乗車料金が決められます。あらかじめ料金が決まっているのでいくらかかるのかを心配する必要がありません。

ミニキャブの乗車料金はブラックキャブよりもリーズナブルですが、ブラックキャブの運転手ほどロンドン市内の道を熟知しているわけではありません。

目的地まで最短ルートでの運行ができなかったり、渋滞や工事にはまってしまったりして到着が遅れる可能性もあります。

ミニキャブもブラックキャブと同じく認可制となっています。車両は普通の乗用車と一緒ですが、正規のライセンスを受けたミニキャブは「Private Hire」と書かれた白いステッカーが車の前後に貼ってあります。

利用方法

ミニキャブに乗車するには、事前に予約が必要です。予約の方法には以下の3つがあります。

  • ミニキャブ会社に電話をする
  • ネット経由で予約する
  • 街中の窓口(営業所)で申し込む

予約の際に、出発地と行き先・時間を告げると乗車料金が確認できます。会社やドライバーとのやり取りも必要ですので、ある程度の英会話能力は必要です。

料金

ロンドンにはミニキャブ会社がいくつかあり、各社それぞれで異なる価格を設定しているため、どの会社を利用するかによって乗車料金は異なります。

また、乗車人数や荷物の量によって手配する車種が変わり、価格も変動するので注意が必要です。

大手ミニキャブ会社Addison Leeの見積もりでは、ヒースロー空港からロンドンの中心地までは£50〜60ほどとなっています。

ブラックキャブは同じ距離で£56.00 – £105.00の乗車料金ですので、リーズナブルさを重視するならミニキャブの利用がおすすめです。

注意点

ミニキャブは完全予約制なので、街中を走って乗客を探す「流し営業」は認められていません。流し営業が許可されているのはブラックキャブだけです。

もし街中でドライバーに客引きをされた場合は、非公認業者の可能性があるため決して乗ってはいけません。のちのちトラブルに繋がる恐れがあります。

また、正規のミニキャブであっても予約時間に遅れてる、サービスの質が良くない、道を熟知しておらず移動に時間がかかってしまうといったケースがあります。

リーズナブルである分、ブラックキャブほどのサービス品質は望めないことは承知しておきましょう。

チップは払うべき?

海外旅行で最も気になるのは「チップ」の存在ではないでしょうか。結論から言うと、ロンドンでタクシーに乗る際、チップは必須ではありません。

もちろんチップを渡せば喜ばれますので、サービスが良いときやドライバーに重い荷物を持ってもらったなど良いサービスを受けたときは、料金の10〜15%を上乗せして支払うと良いでしょう。

「通常通り送迎をしてくれた」「過不足のないサービスであった」程度ならチップというほどの額を渡さなくても構いません。

例えば、料金が£18のときに端数を切り上げて£20で支払う、おつりが出たら「とっておいて」と渡してしまうという形でもOKです。

Uber

Uberは最近利用者を大きく伸ばしている配車サービスです。ロンドンでは2012年にサービスを開始しました。ブラックキャブやミニキャブのような正規のタクシー業者ではありません。

タクシーと異なる特徴や利用方法、注意点などを紹介します。

特徴

Uberは街中のどこにいてもすぐにアプリで車を呼べるサービスです。車を呼び出す前に目安となる乗車料金が分かるのでとても便利です。車があと何分で到着するか、アプリ経由で待ち時間も把握できます。

料金はミニキャブと同じくらいで、予約から決済まで全てアプリ上で完結できます。観光スポットから別の観光スポットまでなど短距離の移動や、今すぐ配車してほしいという場面に適しています。

利用方法

Uberを利用する際はまずアプリをダウンロードします。氏名やカード情報などを登録し、利用を始めます。

地図上で出発地・目的地を選ぶと、おおよその乗車料金とピックアップまでの時間が表示されます。配車の依頼が決定すると、車種や車のナンバー、ドライバーの顔写真が表示されます。

目的の車が現れるまでピックアップ地点でしばらく待ちましょう。車が到着すると、その際に名前と行き先を確認されます。ドライバーはすでに目的地を知っていますので、乗車したら目的地に着くのを待つだけです。

乗車料金は登録したカードから引き落とされるため、ドライバーとお金のやり取りをする必要はありません。降車後は、アプリでドライバーのサービスを評価したりチップを送ることも可能です。

注意点

Uberは正規のタクシー業者とは異なり「配車」だけを請け負うサービスなので、ドライバーの質にはかなり差があることは知っておきましょう。

ブラックキャブ、ミニキャブといったライセンス制タクシーに比べサービスの質はあまり期待できません。

乗車料金はあらかじめ目安額が表示されますが、道の混雑などによってはじめの見積もり額よりも増えてしまうこともあります。また日中・短距離の移動には最適ですが、夜間、女性一人での利用は危険です。

Bolt

Boltは、一般のドライバーによるライドシェアサービスです。エストニア発祥のサービスで、アプリを利用して配車する仕組みとなっています。

ロンドンではUberほど一般に普及しているわけではありませんが、価格の安さから利用者を伸ばしています。ここではBoltの特徴や利用方法、注意点を紹介します。

特徴

Boltのライドシェアで利用できる車には「Bolt」のマークがついています。Boltはライドシェアサービスで、Uberのサービスとは少し異なるものですが、基本的にアプリを経由して車を呼び出すといった使い方は同じです。

Uberよりも更に安く利用できる点はBoltの大きなメリットと言えるでしょう。また、Boltを利用して移動している間はGPSマップで現在位置を確認でき、位置情報は他の人とも共有できます。

安全性が高く手軽なことから、引越しや女性の深夜の移動にも適しています。

利用方法

Uberと同じくまずはBoltの専用アプリをダウンロードし、氏名や電話番号、カード情報などユーザー情報の登録を行います。

Bolt対応エリアなら、アプリを開くとマップ内に利用可能な車両が表示されます。目的地を入力すると、現在地からのルートや目安となる乗車料金が表示されます。

車にピックアップしてもらう場所は、アプリに表示される地図にピンを留めて指定します。ドライバーが決定するとドライバーの名前や車種・車のナンバー・現在位置をアプリで確認できます。

目的の車が到着したらアプリ画面を見せ、乗車客であることを伝えます。Uberと同じくドライバーが目的地を把握していますので、車内でやり取りをする必要はありません。また、乗車料金は登録したカードより引き落とされますので、車内での決済も不要です。

降車後はアプリでドライバーのサービスを評価したりチップを贈ることもできます。

注意点

Boltは、利用エリアや時間によってはドライバーがいない、またはつかまらないためにサービスを利用できない可能性があります。

基本的にタクシー業者ではなくライドシェアサービスですので、乗客が利用を希望していたとしてもドライバー側がサービスをキャンセルすることもあります。「依頼すれば確実に乗れる」という保証があるものではありません。

また、出発地や目的地は分かっていても、その他のドライバーとのやり取りは自分でしなくてはいけません。車内に忘れ物をした場合、直接ドライバーに問い合わせなくてはならないといったケースもあります。

結局どのタクシー・配車サービスが良い?

ここまでは、ロンドンで利用できるタクシーや配車サービスを紹介してきました。ですが、ロンドン観光を検討している人の中には「結局どのサービスを選んだら良いか?」と迷ってしまう人も多いでしょう。

安全性とサービスの質を重視するならブラックキャブの利用がおすすめです。英語が苦手、フライト時間に絶対遅れたくないという人、初めてロンドンを観光する初心者でもブラックキャブなら安心して利用してもらえます。

移動の時間に余裕があり乗車料金を抑えたいという人はミニキャブの利用をおすすめします。事前に料金を把握できますので、予算オーバーの心配がありません。

Uberは日中、ちょっとした距離を移動したい人に向いています。タクシーほど迅速な移動には適しておらず、安全性の面でも不安が残ります。

Boltは乗車料金が抑えられているため、長距離移動に適しています。現在位置を他の人にマップで知らせることができるので、夜間の安全対策もばっちりです。ドライバーと英語でやり取りをすることに抵抗のない人向けです。

以下の表にそれぞれのサービスの特徴をまとめました。

ブラックキャブミニキャブUberBolt
特徴車体の屋根に「TAXI」のランプがついている車の前後に「Private Hire」のステッカーが貼ってある通常の車両車体に「Bolt」のマークがついている
料金ブラックキャブよりも割安ミニキャブと同等~やや安いUberよりも安い
サービスの質ドライバーによるドライバーによる
配車方法事前予約/街中で拾う/タクシー乗り場で乗る完全予約制アプリ経由で呼ぶアプリ経由で呼ぶ
安全性低(夜間の利用はおすすめしない)高(現在位置をアプリで知らせることができる)
どんな人におすすめ?・安全性やサービスの質を重視する人・初めてロンドン観光をする人・フライト時間に絶対遅れたくない人・リーズナブルに移動したい人・移動時間に余裕のある人・ある程度の英会話能力がある人・日中、短距離を移動する人・今すぐ配車してほしいという人・長距離を安く移動したい人・夜間の移動に使いたい人・ドライバーと英語でやり取りできる人

ロンドンタクシーのQ&A

ここでは、ロンドンのタクシー利用に関するよくある質問とその回答を載せています。ぜひ参考にしてみてください。

ロンドンのタクシーは安全?

ロンドンの治安は比較的良いと言われており、ロンドンのタクシーも日本のタクシーと同じように利用できます。ただ、質の悪いタクシードライバーや配車アプリのドライバーによる犯罪も起きているため、夜間や女性一人での利用は十分に気を付ける必要があるでしょう。

相対的に見た安全度は、ブラックキャブタクシーが最も高いと言えます。

車椅子には対応している?大荷物でも大丈夫?

ブラックキャブは全車で車いすが利用可能です。ベビーカーや大きな荷物も乗せられ、荷物の量が多くても追加料金はかかりません。

ミニキャブでも多くの会社で車椅子対応はしているため、予約時に確認してみましょう。

忘れ物をしてしまったら?

ブラックキャブの場合は忘れ物に関する専用問い合わせ窓口が用意されていますので、そちらへ問い合わせましょう。ミニキャブは配車してくれた会社へ問い合わせる形になります。

UberやBoltといった配車アプリの車で忘れ物をした場合は、直接ドライバーとやり取りをする必要があります。

ロンドンはブラックキャブだけじゃない!タクシー以外の移動方法も知っておこう

ロンドンと言えばブラックキャブが最も有名ですが、ブラックキャブ以外にもミニキャブ・Uber・Boltなどさまざまなタクシー業者や配車サービスがあります。

ロンドン観光が初めてならサービスや安全性の高いブラックキャブをおすすめしますが、慣れてきたらミニキャブやUber・Boltでイギリス人と英語で直接やり取りするのも楽しいですね。


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