目次
プロジェクト概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| クライアント | 大手製造業A社(従業員3,000名超) |
| 業界 | 製造業(精密機器) |
| 対象部門 | 経理部門(15名体制) |
| 支援期間 | 6ヶ月(2025年7月〜2025年12月) |
| 成果 | 月次決算 120時間 → 40時間(67%削減) |
背景と課題
A社の経理部門は、毎月の決算業務に約120時間を費やしていた。請求書の突合、仕訳入力、部門間の数値確認など、その多くが「人が目で確認し、手で入力する」作業だった。
経理部長は次のように語る。
> 「毎月20日から月末にかけて、チーム全員が残業続きになる。本来やるべき経営分析や予算策定に時間を割けないのが最大の課題でした」
加えて、以下の構造的な問題も抱えていた。
- 請求書フォーマットの多様性: 取引先200社以上、フォーマットは50種類超
- 属人化: ベテラン社員の退職が迫り、ノウハウの継承が急務
- 二重入力: 基幹システムとExcel管理台帳への二重入力が常態化
Wizitのアプローチ
Phase 1: 現状分析と優先順位付け(1ヶ月目)
経理業務の全プロセスを可視化し、「AI化の効果が高い業務」を特定した。Wizitのコンサルタントが経理チーム全員にヒアリングを実施し、業務フロー図と工数分析レポートを作成。
特定した3つの重点領域:
- 請求書のOCR読取 → 仕訳自動生成
- 部門間の数値突合の自動化
- 月次レポートの自動生成
Phase 2: PoC実施(2〜3ヶ月目)
AI-OCRと生成AIを組み合わせたプロトタイプを構築。まず取引量上位20社の請求書を対象にPoCを実施した。
技術構成:
- AI-OCR: 請求書の文字認識・構造化データ抽出
- 生成AI(LLM): 抽出データから仕訳候補を自動生成、過去の仕訳パターンを学習
- ルールエンジン: 会計基準に基づく自動検証
PoCの結果、対象20社の請求書処理において精度95%以上を達成。経理チームの手作業は「最終確認のみ」に削減できることを実証した。
Phase 3: 本番導入と全社展開(4〜6ヶ月目)
PoCの成果を基に、全取引先200社超に対象を拡大。並行して、月次レポート自動生成機能も実装した。
導入のポイント:
- 既存の基幹システム(SAP)とAPI連携
- 経理チーム向けの操作研修を2回実施
- 例外処理フローを明確化(AIが判断できないケースの人的対応ルール)
成果
定量成果
| 指標 | Before | After | 改善率 |
|---|---|---|---|
| 月次決算工数 | 120時間 | 40時間 | 67%削減 |
| 請求書処理時間 | 45時間 | 8時間 | 82%削減 |
| 仕訳入力ミス | 月平均12件 | 月平均2件 | 83%削減 |
| 月次レポート作成 | 16時間 | 3時間 | 81%削減 |
定性成果
- 「攻めの経理」への転換: 削減した80時間を経営分析・予算策定に充当
- 属人化の解消: AIが仕訳パターンを学習しているため、担当者変更時のリスクが大幅低減
- 経理チームのモチベーション向上: 単純作業から解放され、より付加価値の高い業務に集中
Wizitの支援で重視したこと
このプロジェクトでWizitが特に重視したのは、「技術導入」ではなく「業務変革」というスタンスだ。
AIツールを入れるだけでは、現場は変わらない。経理チーム一人ひとりが「なぜこのAIを使うのか」「自分の業務がどう変わるのか」を理解し、納得したうえで新しいワークフローに移行することが不可欠だった。
Wizitは技術実装と並行して、チェンジマネジメントのワークショップを3回実施。現場の不安を丁寧に解消しながら、段階的に移行を進めた。