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地頭が良く、ロジカルシンキングも完璧。ケース面接を優秀な成績でパスした若手コンサルタントが、現場に出た途端に機能不全に陥る——。 この現象は、コンサルティング業界の"あるある"です。
なぜなら、実際のビジネス現場は「整理されたロジック」だけでは動かないからです。理不尽な要求、感情的な対立、不完全な情報。これらに対処し、泥臭くプロジェクトを前に進める力、それをWizitでは「現場筋(Genba-Muscle)」と呼んでいます。
本記事では、座学やケーススタディでは身につかない、この「現場筋」をどう鍛えるかについて解説します。
現場での議論
1. 「正解」のない世界への適応
学校のテストやケース面接には、必ず「模範解答」が存在します。しかし、現場にはありません。
ネガティブ・ケイパビリティ(Negative Capability)
詩人ジョン・キーツが提唱した概念で、「どうあがいても解決策が見つからない、どっちつかずの状態」に耐えうる能力です。 優秀な若手ほど、すぐに「答え(白黒)」を出そうと焦ります。しかし、複雑なビジネス課題においては、安易な答えに飛びつかず、モヤモヤした状態の中で粘り強く問い続ける力が求められます。
鍛え方: 「結論から言うと」を禁止する会議を設ける。結論を急がず、事実と感情を観察し続ける訓練を行います。
2. 相手の「感情」と「メンツ」を計算に入れる
正しいロジックで論破しても、相手は動きません。むしろ心を閉ざします。
エモーショナル・インテリジェンス(EQ)
クライアントの発言の裏にある意図を読む力です。 「予算がない」という言葉は、本当に金がないのか、それとも「このプロジェクトに価値を感じていない(から出したくない)」のか。 文脈、声のトーン、社内政治の力学から真意を推察します。
鍛え方: 会議後に「あの時、A部長が眉をひそめた理由はなぜだと思う?」という答え合わせ(振り返り)を徹底的に行います。
3. 「理不尽」を構造化する
現場では、昨日と言っていることが違う、朝令暮改は日常茶飯事です。これを「理不尽だ」と嘆くのではなく、「変数が変わった」と捉えるマインドセットが必要です。
状況適応力(Agility)
「上司の指示が変わった」のではなく、「市場環境や競合の動きという外部変数が変化したため、最適解が変わった」と構造的に理解します。 変化をストレスではなく、新たなパズルとして楽しむ姿勢を育てます。
4. 失敗からの回復力(Resilience)
コンサルタントは、クライアントの高い期待値に晒され続けます。時には厳しい叱責を受けることもあります。 そこで折れてしまうか、バネにして成長できるかが分かれ目です。
失敗の言語化
失敗した時に「すみません」で終わらせず、「どの判断が間違っていたのか」「システム的な要因は何か」を冷静に分析させます。 Wizitでは「Fail Fast, Learn Faster(早く失敗し、より早く学ぶ)」をカルチャーとし、挑戦した結果の失敗は称賛されます。
5. 育成の現場から:メンターの役割
「現場筋」は、教室では鍛えられません。OJT(On-the-Job Training)の中で、先輩(メンター)がどれだけ良質な「問い」を投げかけられるかにかかっています。
* 「もし君が社長だったら、今の報告を受けてどう思う?」 * 「この資料で、相手にどう動いてほしいの?」 * 「ロジックは合ってるけど、相手の顔色は見ていた?」
こうした問いかけの繰り返しが、若手の視座を引き上げ、たくましい「現場筋」を作り上げます。
まとめ:AI時代だからこそ「人間力」
情報収集や資料作成はAIが代替してくれる時代です。 だからこそ、混沌とした状況の中で旗を立て、人の感情を動かし、泥臭く完遂する「現場筋」の価値は高まり続けています。
Wizitは、スマートな頭脳と、タフな現場筋を兼ね備えたプロフェッショナル集団を目指しています。
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