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「DX人材が足りない」と嘆く前に、まず社内にどんな人材がいるかを把握できていますか? 多くの企業では、社員のスキルが可視化されておらず、適材適所の配置ができていません。
ジョブ型雇用への移行が進む2025年、経営戦略と連動した「人材ポートフォリオ」の構築は、人事部門(CHRO)の最重要ミッションです。 本記事では、スキルマトリクスを用いて組織の「強み」と「弱み(空洞)」を可視化し、戦略的な採用とリスキリングにつなげる手法を解説します。
人材分析のイメージ
1. なぜ人材ポートフォリオが必要なのか
経営戦略との乖離
「AIを使って新規事業を作る」という戦略があるのに、社員の9割が既存事業のオペレーションしかできない状態では、戦略は絵に描いた餅です。 戦略を実行するために必要なスキルセット(To-Be)と、現在の保有スキル(As-Is)のギャップ(Gap)を定量的に把握する必要があります。
人的資本経営の要請
投資家は、財務諸表だけでなく「人的資本」を見て企業価値を判断します。 「どのようなスキルを持った人材が何人いて、どう育成しているか」を開示することが求められています。
2. スキルマトリクスの作成ステップ
Step 1: スキルの定義(コンピテンシー・ディクショナリ)
必要なスキルを細分化し、定義します。 * ビジネススキル: 論理的思考、交渉力、PM力... * テクニカルスキル: Python、AWS、データ分析、AI活用... * ヒューマンスキル: リーダーシップ、コーチング、心理的安全性構築...
Wizitでは、IPA(情報処理推進機構)のスキル標準(DSS)をベースに、各社向けにカスタマイズします。
Step 2: レベル定義(ルーブリック)
各スキルを4〜5段階で評価できるようにします。 * Level 1: 知っている(Knowledge) * Level 2: 支援があればできる(Experience) * Level 3: 一人でできる(Professional) * Level 4: 他人に教えられる(Expert)
Step 3: 全社棚卸し
社員に自己評価を入力させ、上長が補正します。 SmartHRやタレントマネジメントシステムを活用し、データベース化します。
3. ポートフォリオ分析と処方箋
集まったデータをヒートマップで可視化すると、組織の課題が浮き彫りになります。
パターンA:次世代リーダー不在型
管理職層は厚いが、30代の中堅層が薄く、特定のエースに業務が集中している。 対策: エースの業務を分解し、若手に権限移譲する。中途採用でミドル層を補強する。
パターンB:DXスキル空洞型
ビジネススキルは高いが、デジタルスキルが軒並み低い。 対策: 全社的なリスキリング研修。ただし、全員にプログラミングを教えるのではなく、ノーコードツールや生成AI活用など、実務直結型の研修を行う。
パターンC:属人化ブラックボックス型
特定の古い技術(COBOLなど)しかできないベテランが多く、技術継承ができていない。 対策: モダナイゼーション・プロジェクトを立ち上げ、若手とベテランのペアプログラミングで技術移転と刷新を同時に進める。
4. AI時代のリスキリング戦略
「AIに奪われないスキル」を磨くことがリスキリングの核心です。
* 課題設定力: AIは課題解決は早いが、課題設定はできない。 * 対人影響力: 感情を理解し、人を動かす力。 * 概念化能力: 抽象的な事象を構造化する力。
これらのポータブルスキル(持ち運び可能なスキル)と、AIリテラシーを掛け合わせるプログラムを設計します。
まとめ:人事は「管理」から「戦略」へ
人材ポートフォリオは、静的な管理台帳ではなく、動的な戦略地図です。 Wizitは、人事制度の設計からタレントマネジメントシステムの導入、リスキリング研修の実施まで、人と組織の変革を伴走支援します。
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