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「提案書は作ったが、競合に負けた理由がわからない」 「内容は自信があるのに、クライアントに響かない」
コンペティション(コンペ)において、勝敗を分けるのは「内容の正しさ」だけではありません。審査員(決裁者)は、提案書というレンズを通して「このパートナーとなら未来を共創できるか」を見ています。
2025年の提案プロセスでは、生成AIによる効率化と、人間ならではのストーリーテリングの融合が勝率を劇的に高めます。 本記事では、数多くのコンペを勝ち抜いてきたWizitのノウハウを体系化し、勝率を上げるための「3つの審査観点」と具体的なスライド構成術を解説します。
提案書レビューの様子
1. 審査員が見ている「3つのレンズ」
審査員(役員クラス)は、分厚い資料の隅々まで読みません。以下の3点を瞬時に判断しています。
1-1. 妥当性 (Validity):「我々の課題を正しく理解しているか?」
多くの提案書は、ここですれ違います。 「御社の課題は売上低下です」という表面的な指摘ではなく、「売上低下の真因は、営業プロセスのSFA入力率低下による予実管理の形骸化にある」といった、解像度の高い課題特定が必要です。
* AI活用Hack: 公開情報(IR資料、中期経営計画、社長インタビュー)をLLMに読み込ませ、「CEOが最も懸念している経営課題トップ3」を抽出させることで、経営アジェンダとのズレを防ぎます。
1-2. 実現性 (Feasibility):「絵に描いた餅ではないか?」
「理想的なAI戦略」を描くのは簡単ですが、クライアントは「今の自社のリソースで本当にできるのか?」を不安視します。 これを払拭するには、単なるスケジュール表ではなく、「リスクへの備え」と「具体的な体制図」が必要です。
* ポイント: 「もしAというリスクが発生したら、Bという対策を打ちます」という、リスク管理表(Risk Management Plan)を提案段階で提示することで、「現場が見えている」という安心感を与えます。
1-3. 差別性 (Uniqueness):「なぜあなたなのか?」
他社と同じようなソリューションなら、安い方が選ばれます。 「弊社には実績があります」だけでなく、「弊社独自のナレッジベースを活用することで、初速が2倍になります」や「プロトタイプを初週で提供します」といった、具体的なベネフィットを提示します。
2. 勝てる提案書の「黄金構成(Storytelling)」
ロジックだけでは人は動きません。感情を動かすストーリーが必要です。
- 表紙&エグゼクティブサマリ : 1分で全体像がわかる1枚。
- 現状認識(As-Is) : クライアントの痛み(Pain)への共感。定性・定量の両面から。
- あるべき姿(To-Be) : プロジェクト成功時のワクワクする未来像。
- ギャップ分析と課題 : なぜ今、To-Beに到達できていないのかの構造的要因。
- アプローチ戦略 : 課題を解決するための基本方針(コンセプト)。
- 具体的施策(How) : 何をどう実行するか。サンプルアウトプットを掲載。
- スケジュールと体制 : 誰が、いつ、何をするか。
- 投資対効果(ROI) : コストに対して得られるリターン。
- 私たちの想い(Will) : なぜ私たちがこのプロジェクトをやりたいか。
3. 2025年版:提案書作成のDXテクニック
3-1. 「読む」資料から「見る」資料へ
スマホやタブレットで資料を確認する経営層が増えています。 1スライドあたりの文字数を極限まで減らし、図解(インフォグラフィック)中心にします。生成AI(DALL-E 3やMidjourney)を使って、コンセプトイメージを視覚化するのも有効です。
3-2. サンプルアウトプットの"現物"提示
「ダッシュボードを作ります」という文字よりも、Tableauの画面イメージ(モックアップ)を1枚貼る方が100倍伝わります。 「初月からこの品質のアウトプットが出ます」という証拠を見せることで、発注のハードルを下げます。
3-3. 動画提案の併用
スライドを送るだけでなく、3分程度の解説動画(Loomなどで撮影)を添える手法が急増しています。 熱量を直接伝えることができ、競合との大きな差別化になります。
4. 最後に確認すべき「チェックリスト」
提出ボタンを押す前に、以下の自問自答を行ってください。
* [ ] 専門用語(社内用語)を多用していないか? * [ ] 「弊社」ではなく「御社」が主語になっているか? * [ ] 競合他社のロゴに置き換えても成立する内容になっていないか?(=独自性がない) * [ ] 概算見積もりの根拠は明確か? * [ ] 「このプロジェクトを通じて、担当者を昇進させられるか?」(担当者の社内評価につながるか)
まとめ:提案とは「ラブレター」である
勝てる提案書とは、テンプレートを埋めた作業報告書ではありません。 クライアントの未来を本気で考え、その成功を約束する「ラブレター」です。
AIで効率化できる部分は徹底的に効率化し、空いた時間でクライアントのことを深く考え、熱量を込める。 それが、Wizitが考える「勝ち筋」です。
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