合意形成を速くするファシリ術:会議設計と決定ログの型【2025年版】
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コンサルティング2025.01.1515分

合意形成を速くするファシリ術:会議設計と決定ログの型【2025年版】

「会議が長いだけで何も決まらない」 「声の大きい人の意見で決まってしまい、後から不満が出る」

プロジェクトの遅延要因のNo.1は「意思決定の遅れ」です。 これを解決するのは、強力なリーダーシップではなく、計算された「ファシリテーション技術」です。

2025年、リモートと対面が混在するハイブリッド環境において、合意形成を高速化するための会議設計と、AIを活用した議事録(決定ログ)運用の型を紹介します。

ホワイトボードを使った議論

ホワイトボードを使った議論

1. 会議の前で勝負は決まっている(Pre-meeting)

会議室に入ってから「さて、どうしましょうか」と言うのは、ファシリテーター失格です。

1-1. ゴールの解像度を高める

「情報共有」なのか「アイデア出し(発散)」なのか「意思決定(収束)」なのか。 招待メールの冒頭に、「本会議のゴール:〇〇についてA案かB案かを決定する」と明記します。これがない会議は欠席しても良いという文化を作ります。

1-2. 論点(Issue)の事前配布

議論すべきポイントを事前に整理して送ります。 参加者はそれを読んで自分の意見を持った状態で参加します。Amazonの「資料黙読(Silent Reading)」の習慣と同様、会議時間の最初の15分を使って資料を読み込むのも有効です。

2. 議論を可視化する(Visual Facilitation)

「えーっと」「あの件が」といった音声だけのコミュニケーションは、認識齟齬の温床です。

2-1. リアルタイム・議事録

Google DocsやNotionを画面共有し、発言をその場でテキスト化します。 「今の発言はこういう意味ですよね?」と文字を見ながら確認することで、誤解を即座に解消します。

2-2. 構造化して板書する

MiroやFigJamなどのオンラインホワイトボードを活用し、議論を構造化します。 * メリット・デメリット表: A案とB案の比較。 * マトリクス: 緊急度×重要度でタスクを整理。 * プロセス図: 業務フローを書きながらボトルネックを特定。

視覚化されることで、参加者は「人(誰が言ったか)」ではなく「コト(何が問題か)」に向き合うようになります。

3. コンフリクト(対立)をマネジメントする

意見が割れるのは悪いことではありません。健全なコンフリクトは、より良い結論を導きます。

意見と人格を切り離す

反対意見が出た時、「〇〇さんは反対なんですね」ではなく、「〇〇という観点からの懸念がありますね」とリフレーミングします。

判断軸(Criteria)を握る

A案かB案かで揉めた時、案自体の良し悪しではなく「何をもって良しとするか(判断基準)」に立ち返ります。 「今回はコストよりもスピードを最優先する、という基準で合意できますか?」と、上位概念での合意を取り付ければ、自然と結論は導かれます。

4. 生成AIによる「決定ログ」の自動化

会議後の「議事録作成」という不毛な時間をゼロにします。

AI議事録ツールの活用

Zoom/Teamsの文字起こしデータを、ChatGPTやClaudeに渡し、以下のフォーマットで要約させます。 * 決定事項(Decisions): 何が決まったか。 * ネクストアクション(To Do): 誰が、いつまでに、何をするか。 * 保留事項(Parking Lot): 今回は議論せず、次回以降に持ち越した論点。

ファシリテーターは、AIが出力した内容に誤りがないかを確認し、承認ボタンを押すだけです。

まとめ:ファシリテーションは「技術」である

センスや性格の問題ではありません。準備、可視化、合意形成のプロセスは、トレーニングすれば誰でも習得可能な技術です。 Wizitでは、会議の生産性を高めるためのファシリテーション研修や、実際の重要会議へのプロフェッショナル・ファシリテーター派遣を行っています。

会議が変われば、組織のスピードが変わります。

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[資料配布] 「会議アジェンダ設計テンプレート」 「Miro会議フレームワーク集」 をご自由にダウンロードいただけます。