DXが止まる理由と再起動の処方箋【2025年版】
MEDIA一覧に戻る
コンサルティング2025.01.1518分

DXが止まる理由と再起動の処方箋【2025年版】

「社長の号令で始まったDXプロジェクトだが、現場は白けている」 「PoC(実証実験)ばかり繰り返して、本番稼働に至らない」

経済産業省が警鐘を鳴らした「2025年の崖」の年を迎えましたが、多くの日本企業でDXは「座礁」しています。 システムを入れることが目的化し、本来の目的である「トランスフォーメーション(変革)」が置き去りになっているからです。

本記事では、止まってしまったDXプロジェクトを再起動(Restart)させるための、外科手術的な処方箋を提示します。

DXプロジェクトの会議

DXプロジェクトの会議

1. なぜDXは止まるのか:3つの「負債」

技術的な問題ではなく、組織的な問題がブレーキをかけています。

1-1. 丸投げの負債

「ベンダーに任せれば何とかしてくれる」という思考停止。 ベンダーは仕様通りのものを作るプロですが、あなたの会社のビジネスを変えるプロではありません。オーナーシップの不在が、使われないシステムを生みます。

1-2. サイロ化の負債

「営業部はSalesforce、経理部はSAP」といった個別最適が進み、データが連携されていません。 顧客IDが統一されていないため、「LTV(顧客生涯価値)が見たい」と思っても、手作業での集計が必要になり、DXの効果が出ません。

1-3. 抵抗勢力の負債

「今のやり方で回っているのに、なぜ変えるのか?」という現場の反発。 これは説明不足ではなく、「現場へのインセンティブ設計」の欠如です。楽になるのは管理職だけで、現場の入力作業が増えるなら、抵抗するのは合理的です。

2. 再起動のための「トリアージ(選別)」

止まっているプロジェクトを全て動かすのは不可能です。まずは仕分けます。

* Red (即時停止): 目的が曖昧で、誰もオーナーシップを持っていない案件。サンクコスト(埋没費用)を恐れず停止します。 * Yellow (要・再定義): 必要だが、要件が膨らみすぎている案件。スコープを極限まで削り、MVP(Minimum Viable Product)を目指します。 * Green (加速): 小さくても成果が出ている案件。ここにリソースを集中投下し、全社の成功モデルにします。

3. 処方箋:Quick Win(小さな成功)の創出

再起動に必要なのは、壮大なロードマップではなく、目に見える「成果」です。

3-1. ノーコード/ローコードによる内製化

Power Platformやkintoneを活用し、現場の課題(例:紙の申請書、Excelバケツリレー)を3日で解決します。 「自分たちの手で業務を改善できる」という実感が、現場の意識を変えます。

3-2. 生成AIによる「面倒」の排除

「議事録作成」「日報の要約」「問い合わせ対応」など、誰もが嫌がる業務をChatGPT等で自動化します。 「DX=仕事が減る」というポジティブな体験を植え付けます。

4. 組織を変える「DX推進室」の役割定義

DX推進室は「システム調達部」であってはいけません。

* Before: ベンダー管理、スケジュール管理。 * After: 現場の課題発掘、データ活用人材の育成、部門間の利害調整。

Wizitが推奨するのは、DX推進室に「HR(人事)」機能を持たせることです。 DXスキルを評価制度に組み込み、新しいツールを使いこなす人材が称賛され、昇進する仕組みを作ります。

5. まとめ:DXは「第二の創業」である

DXとは、デジタル技術を使って会社を作り直すことです。 止まってしまったプロジェクトを嘆く必要はありません。それは「膿」を出すための必要なプロセスだったのです。

今こそ、本質的な変革へと舵を切り直しましょう。Wizitは、その痛みを伴う改革に伴走します。

---

[お問い合わせ] 「停滞したプロジェクトの診断(Project Health Check)」を実施しています。第三者の視点で、どこにボトルネックがあるかを特定します。